脱原発はするかしないかの行動の話:2/27「脱原発のドイツに学ぶ~ミランダ・シュラーズさん来日講演」に参加して

脱原発のドイツに学ぶ~ミランダ・シュラーズさん来日講演」に参加してきたので、ごく主観的に報告してみます

 

さて、日本は脱原発をするかどうか。
それは、日本に住んでいる人が何を電力に選ぶか、どんな生活をするか、政治の声を出すかどうか、何に賛成し、何に反対するかを示し、行動するかだということだと思いました。

そう、できるかどうかの可能性の話ではなくて、するかしないかの行動の話なんだということです。
そしてそのためにどこに意識を置くかの話なんだと思いました。

ドイツの状況

1983年にドイツでは、核兵器原発に反対している緑の党が国会で議席を得ました。チェルノブイリ原発事故の前です。


つまりドイツでも脱原発の機運は事故前から高まっていました。そして1986年、チェルノブイリ原子力発電所での事故のあとドイツにも高濃度の放射性物質が雨雲によってもたらされました。その距離1300キロメートルです。
日本でいうと福島から1000キロメートルくらいに九州があります。が、補足すると放射性物質は放出量や天候によって飛来する距離や場所が変わってきます。
日本経済新聞が2016年に書いたチェルノブイリと福島に関する記事も参照してください。

悲劇から30年 チェルノブイリの実相:日本経済新聞

 

そんなドイツでも、すぐに脱原発に向かったわけではありませでした。
事故の後、市民による大規模なデモが行われるなかドイツでも高速増殖炉の計画は許可され、進むことになりました。

つまり市民レベルの脱原発への動きがあり、大規模な原発事故があっても日本と同じように原子力政策はすぐに止まらなかったのです。

そこからドイツが脱原発に向かうまで何があったか。

ひとつは諦めなかったことです。
少しずつ政治を変えました。
1998年社会民主党緑の党連立政権ができました。
チェルノブイリの事故後12年、脱原発再生可能エネルギーへの転換を図ります。
2005年にはキリスト教民主同盟社会民主党連立政権になりますが、原子力政策に変更はありませんでした。その後2009年にキリスト教民主同盟自由民主党連立政権になり方針転換がなされますが、
現在再び脱原発再生可能エネルギー政策に進んでいます。

 

そしてもうひとつは、福島での原発事故です。
脱原発に向かったのはドイツだけでなく、お隣の台湾や韓国も福島第一原発での事故を受けて脱原発再生可能エネルギーに政策転換をしています。

 

さらに別の現実もあります。
もうすでに世界的には原子力は石油、石炭と同じように世界の趨勢ではなくなっているからです。この講演会でも何度かベースロード電源について触れましたが、今では火力や原子力に代わって、再生可能エネルギーがその役割を持てるくらいに供給量が増えていることも示されました。
※ベースロード電源については2014年のThe Huffington Postの記事も参照してください。 

原発は「ベースロード電源」に 「ベース電源」とは何が違うのか

 

またドイツでは福島の事故のあとに倫理委員会が設置されました。
そしてその委員には原子力の専門家や電力会社の人は一人もいませんでした。引退した各党の元議員、哲学者、宗教家、そしてミランダさんも選ばれました。

 

僕たちにできることはたくさんあります。

脱原発、エネルギー転換を訴える。それはデモでもいいし、SNSFacebookTwitterInstagramなど)での投稿でも、日々の暮らしの中でも。


選挙で投票する。組織を作って、自分たちの政策を叶えてくれる政治家を生み、当選させる。あるいは支持する。

 

そして、電力会社を変える。

電力自由化のあと、東京電力から他の電力会社に切り替えた人の電力量はは中部電力の供給量と同じくらいだったそうで、そのことの方が東京電力には堪えたそうです。

 

議員に連絡する。

原子力推進派にも、原子力反対派にも、脱原発派にも、新エネルギー派にも対しても、
「いつも応援しています。私は火力や原子力ではなくて再生可能エネルギーを望みます」と伝えてみてください。

 

他にも大事なこととして、
自分の暮らしを変える。電力に頼りすぎていないかどうか。
自分が暮らしている場所に対しても、過剰な要求をしていないかどうか。

 

他にも方法はあると思います。
試して、広めてみてください。

 

日本には朗報があります。

脱原発を2022年を目標にしているドイツの7基よりも少ない3基しか稼働していないこと。
2011年のあとにすべての原発が止まっていた期間があったことです。
※2013年から約2年間原発が止まっていたことに関するWIREDの記事(原発が全停止した日本、しかし炭素排出量は増加せず:米政府の調査結果):

原発が全停止した日本、しかし炭素排出量は増加せず:米政府の調査結果|WIRED.jp

 

以上、簡単ですが、速報として書いてみました。

今回もうひとつ思ったのは、ドイツ在住のアメリカ人のミランダさんが日本語で脱原発について語る。それだけでも聞きに行く価値があったのかもしれないです。
人は国を超えている証拠だからです。

 

そして、僕が会場に着いた時にはすでに準備していた資料は配り切っていて、再印刷待ちでした。
最後にアナウンスとして300名以上が来場したとのことです。

f:id:saulsaul:20180302093101p:plain